◆山口市菜香亭一周年によせて

 昨年十月、祇園菜香亭が移築復活して一年が経過した。植栽された中庭の樹木もようやく落着き、旧菜香亭にあった秋田フキも移植以来大きく葉をひろげている。
 開館以後玄関受付に芳名録を置き、来館者の記帳がつづいているが、すでに十一冊に及んでいる。
 菜香亭の施設利用者は山口市内からがいちばん多いが、県内各市からの利用グループもあって館に寄せられる親しみも定着してきたことがうれしい。
 県外よりの見学者も多い。丸一年を待たずに八月末で利用者・見学者は三万人をはるかに越えている。
 芳名録の記帳者から拾うと、菜香亭が全国版になっていることがわかる。
 遠いところで北海道は長万部近くの虻田郡真狩村のSさん、沖縄県那覇市与儀のOさんがあるが北海道、沖縄はそれだけではない。東北からも青森県むつ市のIさん、岩手県盛岡市のAさん、秋田県秋田市のYさんなどで新潟、福井の北陸も多く、埼玉、千葉、東京、横浜など関東地区は特に多いが、なつかしい名前があった。横須賀市のTさんで約二十年前山口市の通信施設に勤めていた人でなつかしい。
 近畿は京阪神をはじめ奈良、和歌山と多いが四国は割合に少なく高知からの客がない。広島、岡山、島根、鳥取は京阪神に次ぐ。九州は福岡、長崎、佐賀、熊本に次いで、湯布院・別府と鹿児島、宮崎がある。
 菜香亭が全国的に知られているのは移築再開を全国ネットで報道した新聞・テレビのメディア効果とI・T時代に併せ、かつて山口に勤務したことのある官公庁・銀行関係者の「なつかしさ」が考えられる。
 来館者に若い女性の姿も目立つ、これからも市民のための和風歴史文化の空間として存在感をたしかなものにしていきたい。


(平成17年10月26日発行第3号掲載)